実録! ニャンコは泳ぐ ヒトも泳ぐ中島公園菖蒲池
このページは 「報われなかったニャンコへの愛」の続きです。
ものごとは踏み出しが肝心だ。これを間違えれば、その先が上手く行くはずがない。 ニャンコ救出大作戦の「ニャンコ助け隊長」は、これを間違えてしまった。
彼は島に残された親子猫2匹が、餓死するものと考え、万難を排してボートで救出することを決意した。 愚かにも、猫は泳げないと断定したのだ。
しかし、これは大きな誤算だった。猫の親子は隊長の心配をよそに泳いで島を出て行ってしまったのだ。隊長のニャンコへの愛は報われなかったのである。
撮影と写真提供はCitySapporoさん。
ニャンコの気持ちの「北島のニャンコ」の言うとおりになってしまった。 人間の浅はかな知恵は、当事者である猫の本能に遠く及ばない。 「必死の救出劇」も、当の猫にとっては、ありがた大迷惑だったのである。
私なら、隊長の気持ちを有難く受け止め、お別れの挨拶ぐらいはして行くのだが、義理も人情もないニャンコどもだ。
隊長はショボクレていると思って心配していたのだが大間違い。 相変わらず元気に歩き回り喋り捲っている。 東京がダメなら大阪があるさと言う感じだ。
今日も中島公園をウロウロしていた。 なにやら好からぬ事を企んでいるようだ。 ウエットスーツを着た屈強な若者4人を従えている。 そしてビデオカメラのモニターで驚くべき映像を見せてくれた。 こともあろうに裸の若者4人が中島公園菖蒲池を泳いでいる姿が写っているのだ。
「彼らを池の南から北へ完泳させてネットで流そうと思うんだ」
「ダメですよ。この池は遊泳禁止ですから」
「ネコだって泳いだじゃあないか」。 隊長はあのことをまだ根に持っている。
「ネコは泳げないと言ったでしょ」
「そんなこと言ってない、泳いではいけないと言ったのだ。 だからエサを運んだりして援助してやっていたんじゃないか」
あくまで、自説の正当性を主張する腹だ。 私の当惑などお構いなしに話をドンドン先に進める。
「菖蒲池を泳いで横断するところを撮ろうと思ったのに、寒いと言って途中で上がって来たんだよ。 ホントに最近の若い者は情けないよ」
「それで、ウエットスーツですか」
「ネコじゃないんだから、中島からちょこっと陸まででは誰も驚かないだろう」
「そんなことしちゃあダメですよ。遊泳禁止だから」
隊長はなんとかして、ニャンコから受けた屈辱を晴らそうとしている。
なるほど、こういうタイプの人はショボクレたりしないのだ。
翌日、隊長にばったり会うと、いつもと違って愛想がない。
「アンタだろう警官に言いつけたのは」と言ってビデオカメラのモニターを見せられた。そこにはウエットスーツ姿の若者と警官が言い争う様子が写っていた。
「今度こそ準備万端だったのに、警察に見つかって折角の努力も水の泡だよ」
「言いつけたりしませんよ。トンデモナイ濡れ衣です」
「オレが何かしようとすると、何で水を差すんだよ~」
「水が合わないんでしょうね。水に流しましょ」
ともかく隊長が元気になって安心したのでニャンコの話に戻ることにする。 その時はまだ泳ぐ猫の写真は見せてもらってなかった。 だから北島のニャンコが泳げると言っても半信半疑だったのだ。
9月の初旬、「北島」は草刈り作業で丸坊主になった。 そこには2匹いるはずの猫の姿がない。 保健所に連れて行かれたのかも知れない。 心配だ。
「草刈機で刈ったのでしょう。猫は音に驚いて逃げたはずよ」
猫に詳しいHさんは言った。
「泳げるのですか?」
「危険が迫れば、必死になって泳ぐわよ。まず親猫が飛び込めば、子猫は必ずついて行くの…」
なるほどと思った。 作業員は草を刈るのが仕事だから、猫の保護など考えないだろう。 なにぶん逃げる猫を捕まえるのは大仕事だ。
さっそく裏を取るための聞き込みを始めると次のことが分かった。 8月の下旬に猫が泳いで島を脱出したのを、見た人がいる。
草刈作業が入った頃は、島は既にもぬけの殻だった。 その後猫は、親子で森の中でひっそりと暮らすことになった。 親は黒、子は茶色だ。 どなたが作ってくれたのか、発泡スチロール製の猫小屋も用意されている。
察するところ、母猫は子猫が安全に泳ぎ渡れるようになるまで待っていたのだろう。 泳ぎきるには、それなりの体力が必要だ。
元気に育てるための餌は、おばちゃんに頼っていたようだ。 可愛いニャンコの為に一生懸命、島に向って餌を投げた。
おばちゃんの投げた餌が、島まで届かないで池にポチャンと落ちてしまう。
それを見かねたおじちゃんが、代わりに投げてやる。
そんな二人がベンチでささやくようになったとしても不思議ではない。
「北島の猫」の取材中に出合った小さなドラマ。
夜空に星あり、片隅の人生にもオマケあり。
「フィクションと言ってたのに、今さら実録とはなんだよ!」
と、友人Aさんは不満顔だ。
「気が変わりました。秘匿が必要な外交文書でさえ、年月がたてば公開しなければなりません」
「米国では30年で公開。あんたのフィクションは、たった2か月。早すぎるぞ!」
「秘密には段階があるのです。高い順に機密、極秘、秘、部外秘です」
「歌おうか」
「カラオケですか。いいですね」
「有楽町であいましょう」
おおっ! これぞ秘密の合言葉。
「どうぞ、歌って下さい」
「…あなたと私の合言葉~♪ 有楽町であいましょう♪」
「二人だけの合言葉。これは部外秘の一種。秘匿期間は短かくていいのです」
「だからどうした」
「私の書いたフィクションなど、好きな時に実録に変えてもいいのです」
「相変わらず、いい加減だな」
「ぬる燗です。どうぞ」と酌をする。
「おっ、とっとっと…」
「良い加減になっています。熱くも冷たくもありません。」
チュンチュン ♪中島公園スズメの声♪ チュンチュン
チュンAさん:私も猫が大好きですが、エサやりをするというのはどうなのでしょうね、お互いにとって。こっそりたまにあげる、程度で良いような気もしますが…。 反対する人の気持ちも分るのです。 猫は猫の矜持があり、その範囲の領分で生きていますからね。 イザとなったら、泳ぐのですね、人間でも動物でも植物でも、必死に活きる姿が好きです♪
nakapa:私も猫への餌やりに反対する人の気持ちは、よく分かります。 現実的な被害が出ています。餌をやると、どうしても一定の場所に定着してしまいます。 定着に伴いいろいろなトラブルが発生します。 近所では、それが問題となっています。 飼い主の猫への愛情が一番大切とは思いますが…。 公園に飼い猫を捨てるなんて論外ですね。
チュンBさん:何かの本で読みましたが殆どの動物は生まれながらにして泳げるのだそうですね。 泳げないのは人間と人間に近い高等なサルだけだそうです。 ニャンコの親子はきっとどこかで元気に暮らしていることでしょうね。 猫はしたたかな動物のような気がします。
nakapa:なるほど、納得です。 中島公園のニャンコは幸せ者です。 面倒見てくれる人がいっぱいいます。 もちろん、猫に餌をやることに反対の人もいっぱいいますが、虐待したりしません。 我慢でしょうか。
チュンCさん:猫はやっぱり泳げるのですね。 子猫の成長を待って島から出る姿が想像できます。 公園には何匹位の猫ちゃんが居るのでしょうか? 最後の締めがいい! 「良い加減になっています。熱くも冷たくもありません。」とは。
nakapa:猫は泳ぐの嫌いだけど泳げるというのが、猫に詳しい人の答えです。 公園には少なくとも20匹くらいの野良猫がいると思います。 面倒をみている人も猫の数以上は、いると思います。 また、公園の猫を迷惑な存在と考えている人も多いです。
チュンDさん:菖蒲池で若者を泳がせてビデオに撮ってネットで公開しても誰も驚かないと思います。ネットにはもっと面白いことがいっぱいありますから。
nakapa:隊長は遊泳禁止について、ネコにも適用すべきと考えています。 その裏返しとして、ネコが泳いでいいのなら人が泳いでも文句言うなと言いたいのです。 理屈はともかく、隊長は猫で苦労しましたから大目に見ましょう。
チュンEさん:成る程成るほどフィクションと実録がない交ぜに。 テレビの世界と同じですなぁ(*^ー°v nakapaさんのブログ゙も…。 何が起きるかとチョッとだけハラハラドキドキさせて頂き、オマケにチョッとだけのラブロマンスも感じさせて頂き…。 これからは後者の行方でしょうかね。 タノシミタノシミ中島公園記者のnakapaさんいっそう忙しくなりそうね(*⌒▽⌒*)b。
nakapa:子供のときは汽車ごっこで遊び、今は記者ごっこです。 我ながら進歩ないですね。 ちょっとでもハラハラドキドキしてくれたら、 こんな嬉しいことはありません。 ラブロマンスはどなたかネタを提供してくれたら書きたいのですが。
チュンFさん:ネコちゃんのお話、心があったかくなりました。 ネコの世界でも親の愛情は深いですね。 北国の紅葉は一段ときれいですね。 信州も紅葉が始まりました。 これからしばらく秋を楽しめると思うと幸せです。
nakapa:動物の世界では、母親の愛情は絶対ですね。 鴨も母となると、猫にも向っていくし、 子を守るためには、恐れを知らないように見えます。 もちろん例外もあります。人間的で面白いですね。
チュンGさん:猫ちゃんのお話、凄くホッとして読みました。 「夜空に星あり、片隅の人生にオマケあり」には笑えました! グリーンの部分は「ウン~なるほどなるほど」でした、熱くもなく、冷たくもなく、良い加減の文章です。結構可笑しくって…… (^o^)丿
nakapa:今回、猫は泳げると聞いたので、公園でいつも顔を見る人や、ヒマそうな人 にいろいろ聞いて回りました。その結果をブログに書きました。 他人様から見たら、公園をうろついて話しかける私が一番ヒマそうに見えたでしょうね(笑)。
チュンHさん:相変わらず平和なお話しに吸い込まれて読みましたよ。 猫ちゃん幸せですね! 皆さんにこんなに愛されて…。 黒猫だったんですか~ 。 私、黒猫を拾って18年間共に過ごしました…。 黒猫は福を呼ぶそうですよ! 私?福を沢山貰いました…(^_-)-
nakapa:中島公園のニャンコは幸せですね。 島に残されたと言って、大騒ぎ。 シニアネットの人までボートに乗って救出に行くとか言ってましたよ。 黒は多いですね。 ここの猫を支配しているのは「ボスグロ」と呼ばれている黒猫です。 その血統とかいう噂です。皆で福をもらえるといいですね。
チュンIさん:ニャンコ物語、良いお話でした~♪ 私も事実でもフィクションでも、どちらでも構いません。 小説でも事実を膨らませていると思われますし。 秘匿期間が有ったなんて知りませんでした(汗) でもアメリカが公開してるのに日本が拒否してるのは可笑しなものです 何でも情報公開して良いものでもないでしょうが、騙されてたって余り気持ちの良いものでも…。
nakapa:外交交渉などは、どうしても秘密にしなければならないことがあります。 しかし、永久に秘密のままでは闇に葬ったのと同じです。 30年とか、ある期間を過ぎたら明らかにすることは重要と思います。 交渉当事者も明らかにすることによって、その後の推移を勘案しながら自分の正しさを証明できるのです。
チュンJさん:待っていました、nakapa さん! 舞ってしまいました、ちゃちゃばあば! フィクションというのは、実録も含めていいのです。 が、ノンフィクションは実録だけでなくてはいけないのです。そして、フィクションの中の実録は事実でなくてもいいのです。 そう思います。 ネコの第三話も待ち遠しいですが、「ベンチでささやく二人」のその後の話の方がもっと気になります。 もちろん、フィクションでいいのですが…。
nakapa:そうなんですか。勉強になりました。 フィクションと実録、それにノンフィクション。 「フィクションの中の実録は事実でなくてもいいのです」と聞いて一安心です。 「ベンチでささやく二人さん」の男性の方から、情報をもらっています。 鴨に餌をやっている女性と片羽のない子鴨の話を聞いて、家に帰ろうとすると、 まだ、お二人さんは話中です。 それで、余計なことを考えてしまいました。
チュンJさん:隊長さんもおかしいですね。 自分が勝手に猫は泳げないとか思い込んでいて、泳いだ現実を突きつけられると猫だって遊泳禁止だとか屁理屈をこねるのですからね。
nakapa:隊長の苦しみを思えば、そのくらいの事は許して上げたくなります。 北島に残されたニャンコたちを助けるのに必死だったのですから。 一生懸命生きている人には尊敬の念を捧げましょうよ。